近年、営業担当者の行動管理や効率化を図るSFA(Sales Force Automation)や顧客情報を管理するCRM(Customer Relationship Management)ツールを導入する企業が増えています。矢野経済研究所が2022年に民間企業を対象に行った調査によりますと、回答があった509社のうち、SFA/CRMを導入している企業は32.1%で2020年の16.1%から倍増していました。一方で、SFA/CRMツールは導入後に定着しにくいといった特徴があります。導入したものの費用対効果が低い場合はツールの乗り換え(リプレイス)を検討しても良いかもしれません。本記事では乗り換え時に注意すべき5つのポイントについて解説します。
SFA/CRMの乗り換えが必要な理由
実際にSFA/CRMツールを導入した企業が直面する現状と導入企業の声を紹介します。
- SFA導入後に不安を持つユーザーは50%以上
- 不安を持つユーザーの声
導入後に不満を持つユーザーは50%以上
SFAツールを販売する株式会社マツリカがSFA導入企業の担当者など200人を対象に2017年に行った調査によりますと、SFA導入で課題が解決できたかという問いに対し、「解決されていない」と回答した人は44.5%、満足できたかという問いに対しては、「満足している」と回答した人は49%にとどまりました。
SFAを導入した企業のうち、半数近くがSFA運用に不安を抱いていることを示しています。
不満を持つユーザーの声
では、ユーザーからは実際にどのような不満の声があがっているのでしょうか。
同調査によりますと、「SFAの機能が不足している」が31.8%、「SFAの機能が多く活用しきれない」が29.6%、「入力項目が多く業務負荷が増大している」が23.5%、「営業パーソンの情報入力が徹底されない」が22.9%でした。SFAの機能面での不満が61.4%、社内体制や運用リソースに関する不満が46.4%という結果になりました。
なぜSFA導入に失敗するのか
SFA導入後に半数近くの企業が不満を持つことが調査で明らかになりました。なぜ、不満を持つことになるのでしょうか。本章では導入に失敗するよくある理由を解説します。
- 目的が「導入すること」になっている
- 操作できず業務負荷が増大している
- 運用体制が整備されていない
- 必要な機能がツールにない
- 機能が多く使いこなせない
目的が「導入すること」になっている
SFAツールを導入すること自体が目的となっているケースです。SFA導入にあたっては、どのような課題を解決したいのか、対象を明確にする必要があります。このプロセスを疎かにすると、ツール選定の際に必要な機能が分からず、結果的に必要ない機能を搭載したツールを選択したり、逆に必要な機能がないSFAツールを導入してしまったりする可能性があります。目的を定義しないまま導入を進めると失敗する可能性が高まります。
操作できず業務負荷が増大している
ツールを十分に操作できず、業務負荷が増大しているケースです。これにはツール側の問題である場合とユーザー側に問題がある場合があります。ツールのUI/UXが分かりにくく使いにくい可能性がありますし、ユーザー側が十分にトレーニングできずに運用となっている可能性もあります。SFAツールは本来、営業業務を効率化するためのツールです。SFAツールによって業務負荷が増大するのは本末転倒です。
運用体制が整備されていない
SFAツールを運用していくための体制が整備されていないケースです。SFAツールを導入してもデータを入力する人がいなければデータ活用することができません。顧客データは営業担当者が入力するのか、バックオフィスで入力するのか。役割を組織内で定義する必要があります。
また、入力担当者を決めても入力方法が分からなければデータを入力できません。SFAツールの使い方をレクチャーする教育係も必要です。同様に、誰がデータ分析するのかといった役割を決める必要があります。こうした体制内での役割が定義されていないと運用も滞り、SFAツールを十分に活用できない要因となります。
必要な機能がツールにない
SFAツールに営業活動を行ううえで必要な機能が備わっていないケースです。結果的に従来の方法や営業プロセスを採用せざるを得なくなり、SFAツールを導入する意味が半減してしまいます。こうした事態は導入前に目的を明確にし、必要な機能を営業業務プロセスにあわせて詳細に抽出することで避けることができます。
機能が多く使いこなせない
反対にSFAツールの機能が多くて使いこなせないといったケースもあります。搭載機能が多いSFAツールの場合、使いこなすために十分なトレーニングやサポートが必要になります。また、SFAツールは原則、使用できる機能に応じて料金が課金されます。
使わない機能を搭載したSFAツールを契約すると、費用対効果を低下させる恐れがあります。こうした事態も導入前に目的を明確にし、必要な機能を営業業務プロセスにあわせて詳細に抽出することで本当に必要な機能を抽出することができます。
SFA/CRMの乗り換え前に確認すべき5つのポイント
前章ではSFA導入に失敗するよくある要因を解説しました。本章では導入に失敗し他SFAに乗り換える場合の確認ポイントを解説します。
- 定着しなかった理由を洗い出す
- 機能の要否を整理する
- 無料トライアルで操作性を確認する
- 運用後のサポート体制でツールを比較する
- 社内の運用体制を整備する
定着しなかった理由を洗い出す
まずは、導入したSFAツールがなぜ定着しなかったのかを分析しましょう。前章で解説した要因を参考に、自社の課題がどこにあるのかを明確にします。要因を特定できれば次に導入するSFAツールの選定条件とすることができます。
機能の要否を整理する
機能の要否を整理します。この段階で自社がSFAツールによって解決したかった課題や目的を再度確認しましょう。最初の目的に対して必要だったのはどのような機能だったのか、実際に導入したSFAツールの機能とどのようなギャップがあったのかを確認することで、新たに導入するSFAツールに必要な機能を詳細化します。また、目的部分が変更されたのであれば、その内容も反映しましょう。
無料トライアルで操作性を確認する
定着しなかった理由と機能の要否検討結果を参考に新たに導入するSFAツールを選定します。この際、無料トライアルが利用できるかどうかも確認しましょう。導入前に使用感を試すことができる無料トライアルを積極的に利用することで、導入後のギャップを軽減することができます。無料トライアルは期間が限られています。複数のSFAツールを比較するため、事前に評価ポイントを決めておきましょう。
運用後のサポート体制でツールを比較する
運用後のサポート体制が充実しているかどうかも重要な選定ポイントです。SFAツールは導入後の定着が難しいという特徴があります。充実したサポートを受けることで定着率も底上げできます。また、無料トライアルを実施したのであれば、自社の目的との機能ギャップやUI/UXの面での課題も見えてきます。こうしたギャップや課題をサポートによって解決でききるかどうかも確認しておく必要があります。
社内の運用体制を整備する
新たに導入するSFAツールが選定できたら社内の運用体制を整備しましょう。誰がデータの入力を行うのか、誰がデータ分析を行うのか、誰が教育を行うのかといった役割を明確にすることで業務プロセスを定義できます。事前に体制や業務プロセスを確定することで、なんとなく運用を始めるのではなく、運用開始直後からルールに則った運用が可能になります。体制を最適な形に整備することでSFAツールの効果を最大限高めることができます。
SFA/CRMのリプレイス手順を詳しく解説
実際に乗り換える際の手順を解説します。前章で解説したリプレイス時のポイントを意識しながらプロセスを進めましょう。
- 導入の目的を明確にする
- リプレイス候補のツールを選定する
- 無料トライアルを活用する
- スムーズなデータ移行のコツ
- 導入後の社員教育と定着支援を行う
導入の目的を明確にする
まずは、SFAツールを導入する目的を再確認しましょう。SFAツールを導入する前に設定した目的を再確認し、現在導入しているSFAツールの機能とのギャップを確認します。このフェーズで抽出するギャップを分析することで機能の要否を整理することができ、リプレイス候補のツールを選定する際の条件とすることができます。また、目的が変更されている場合は、変更内容を反映しましょう。変更内容は詳細化し機能レベルに落とし込むまで検討する必要があります。
リプレイス候補のツールを選定する
導入の目的を明確にし、機能の要否が整理できたらリプレイス候補のツールを選定します。ツール選定の際には機能以外にも価格や無料トライアルの有無、サポート体制、顧客満足度調査といった項目でも評価しましょう。また、ツールは一つだけでなく複数のツールを選定しましょう。
無料トライアルを活用する
ツールの選定が完了したら無料トライアルを開始します。ここでは複数のツールについて評価を行い、最終的に導入するツールを決定しましょう。一時的に複数のツールを利用することにもなるため、関係各所との調整を行い効率的にトライアルを実施できるよう準備しましょう。また、事前に評価項目を作成しておくことで評価を標準化できるほか、自社の要件とのギャップを正確に測ることができるようになります。
スムーズなデータ移行のコツ
既存のSFAツールから新たに導入するSFAツールに顧客情報や商談情報データを移行します。移行前に自社の目的や要件にあわせて必要なデータ項目を整理しておくと、移行が比較的スムーズに行えます。
導入後の社員教育と定着支援
導入後はツールの定着に向け社員教育やサポートを展開する必要があります。導入前にトレーニングスケジュールやトレーニング内容、トレーニング方法について検討しておくとスムーズに定着が進みます。また、SFAツール提供会社によるサポートの中にはトレーニングを提供しているサービスもあります。こうしたサービスを利用しながら、できるだけ早く新しいSFAツールが定着するよう努めましょう。¥
SFA/CRMのリプレイスに成功した事例
本章では実際にSFAツールのリプレイスに成功した事例を紹介します。
- GENIEE SFA/CRMへのリプレイス成功事例
- Zohoへのリプレイス成功事例
GENIEE SFA/CRMへのリプレイス成功事例
ビルメンテナンス事業などを展開する岡﨑建工株式会社では大手SFAツールを数年間使用していましたが、部署ごとに契約しているプランが異なり、使える機能に制限がありました。また、ツールの機能が多くオーバースペックとなっており、ランニングコストが負担となっていました。
そこで同社は大手SFAツールの約1/3のコストで導入できるGENIEE SFA/CRM(株式会社ジーニー)にリプレイスしました。これにより全部署で同一のプランを契約できるようになり、全社的に同一の機能が利用できるようになりました。同社では部署間の情報共有がスムーズになったことで残業時間を削減できたほか、ランニングコストを50%削減することに成功しました。
Zohoへのリプレイス成功事例
研究機関や大学、メーカーを対象に研究の効率化支援を行う株式会社バイオクロマトでは、顧客管理やメール配信のため製造業向け販売促進・営業支援ツールを利用していました。しかし、メールの配信数に上限があり、上限を超えた場合は従量課金制となるため運用費がかさみ、ツールの維持に年間約130万円もの費用が発生していました。
同社は安価で多機能であることとメール配信機能があることからゾーホージャパン株式会社が提供するZoho CRMにリプレイスしました。結果、年間の運用費を80%減の約30万円まで削減することに成功しました。また、それまで案件管理をExcelで行っていましたが、顧客管理項目を詳細化することでExcelの管理ファイルを廃止することに成功しました。
リプレイスにおすすめのSFA/CRMツール3選
本章ではリプレイスにおすすめのSFA/CRMツール3選を紹介します。
ツール名 | 会社名 | 特徴 |
GENIEE SFA/CRM | 株式会社ジーニー |
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Mazrica Sales | 株式会社マツリカ |
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eセールスマネージャー | ソフトブレーン株式会社 |
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GENIEE SFA/CRM
ツール名 | 会社名 | 特徴 | 料金 | URL |
GENIEE SFA/CRM | 株式会社ジーニー |
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スタンダードプラン:10ユーザーあたり月額34,800円(税抜き) | https://chikyu.net/ |
GENIEE SFA/CRMは株式会社ジーニーが提供するSFAツールです。GENIEE SFA/CRMは使いやすいUI/UXに重点を置いており、スマホからもデータ入力が可能なため、99%と高い定着率を誇ります。OpenAi社の生成AI「GPT-4」を標準搭載しており、高いセキュリティ環境で報告書やメールの文面を自動で生成できます。また、マップ上で商談履歴の更新が可能なため、外回りの効率も高めることができます。
Mazrica Sales
ツール名 | 会社名 | 特徴 | 料金 | URL |
Mazrica Sales | 株式会社マツリカ |
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Growth:10人あたり月額110,000円(税抜き)
※1ユーザー追加あたり月額11,000円 |
https://product-senses.mazrica.com/ |
Mazrica Salesは株式会社マツリカが提供するSFA/CRMツールです。Mazrica Salesでは財務情報や有価証券報告書、プレスリリースといった顧客情報まで収集し多角的に顧客を理解するサポートが可能です。また、チーム単位での案件管理が可能で、案件はそれぞれカード形式で進捗などを確認できます。また、チームメンバーの営業活動をグラフ化し、過去の類似案件の中からベストプラクティスを提案することも可能です。
eセールスマネージャー
ツール名 | 会社名 | 特徴 | 料金 | URL |
eセールスマネージャー | ソフトブレーン株式会社 |
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スタンダード:1人あたり月額11,000円(税抜き)
※Remix Cloudの料金 |
https://www.e-sales.jp/ |
eセールスマネージャーはソフトブレーン株式会社が提供するSFA/CRMツールです。利用するユーザー数が31人以上の場合は「Remix Cloud」、30人以下の場合は「esm」と名称が異なり料金体系も異なります。
eセールスマネージャーでは顧客の属性、状況に応じたターゲティングリストを自動で作成できるため、マーケティング活動を最適化できます。また、人脈管理においても他SFA/CRMツールでは名刺管理にとどまるところ、eセールスマネージャーではまだ接触できていない顧客情報や接触した顧客の購入意欲まで管理することができます。さらにセキュリティ面においては、ユーザー権限の制限や機密情報の制限といった充実した対策を行うことが可能です。
SFA/CRMの乗り換えのまとめ
SFAツールを導入する企業が増え続ける一方、コストや機能面で期待した効果を得られていないと感じる企業が約半数を占めます。現在は様々な特徴を持つSFAツールがリリースされているため、リプレイスによってコスト削減や機能の整理を行うことが可能です。
ツールのリプレイスは相当の工数を必要としますが、費用対効果の低いツールを使い続けるよりはコスト面でも運用面でもメリットがあります。すでにSFAツールを導入している場合でも、自社に適しているか見直しすることをおすすめします。